久し振りに運動をしたり、仕事などで普段使わない筋肉を使い過ぎたりすると次の日に筋肉痛になってしまうことがあると思います。
今回のコラムでは筋肉痛のメカニズムや予防法などを取り上げていこうと思います。
ところで筋肉痛とは何なのでしょうか?
筋肉痛のメカニズムは医学的にははっきりと解明されておりません。ですが現在では筋肉を激しく動かした時に「筋線維」が傷つき、それを修復する時に炎症が起こることで引き起こされるという説が有力とされています。
筋肉痛は2つに分けられます。
私達が一般的に言う筋肉痛は「遅発性筋肉痛」と言い、運動をした数時間後から数日後に起こるものを指します。
先にもお話ししたように、傷ついた筋線維が修復する時に引き起こされるのが原因と言われています。
もう1つは「即発性筋肉痛」と言い、運動した直後や、早ければ運動している最中に起こります。疲労感と共に筋肉が熱っぽく重い感覚になるような痛みを感じるもので、体を動かすだけでなく、デスクワークなどで長時間同じ姿勢で座っているだけでも起こることがあります。乳酸の生成に伴って筋肉内に水素イオンが発生し、イオンバランスが崩れて筋肉内が酸性に傾くことが原因と言われています。
もし筋肉痛になってしまったら
○ 熱を持った筋肉をアイシングしましょう。
激しい運動やトレーニングの後、筋肉が痛くなり熱を持っていることがあります。その場合、筋肉を氷や保冷剤などで冷やすことで、痛みを伝える神経の伝達速度を抑えることができます。また、筋肉の炎症を抑える効果もあります。1回あたり10~20分、運動してから24時間以内に2回程度行うと効果的です。ただ、冷却することで血流を悪くすることにもなるので、筋肉が熱を持って痛む場合にその当日のみアイシングするようにしましょう。
○ お風呂で体を温めましょう。
運動してから時間が経ったら、ぬるま湯にゆっくり浸かり全身を温め血流を良くするとよいでしょう。
血液が筋肉の回復に必要な酸素や栄養分を運んでいくだけでなく、新陳代謝も促進されて回復が早くなります。
ただし、こちらはアイシングと反対で、運動直後の筋肉が熱を持った状態で行うと全身の血流がよくなりすぎて、酸素や栄養が回復したい筋肉だけに送られないため逆効果です。数時間から数日おいてから試してみてください。
○ ストレッチやマッサージで筋肉をほぐしましょう。
運動やトレーニングを行った後は、筋肉がかたくなり血流が悪くなっていて、痛みの原因にもなります。
筋肉痛だからといってじっと動かずにいると、どんどん血流が悪くなりかねません。
マッサージやストレッチをすることで血流が良くなり、身体のすみずみまで酸素や栄養が行き届くようになります。特に、お風呂上がりの身体が温まって血行が良くなった状態で行うのがおすすめです。
ただし、力を入れすぎると逆効果になってしまうのでご注意ください。
○ 筋肉痛に効果のある栄養を摂りましょう。
筋肉痛を早く治すために、栄養バランスのとれた食事を摂りましょう。筋肉を修復するには、筋肉の材料であるたんぱく質が必要です。たんぱく質は、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。
たんぱく質と一緒に積極的に摂りたいのが、血行促進効果のあるビタミンCとEです。
ビタミンCは果物や野菜、いも類に含まれており、ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類やうなぎ、アボカドなどに含まれています。
○ しっかりと睡眠を取りましょう。
筋肉痛だけではなく体の疲労回復全般において、睡眠時間を確保し良質な睡眠を取ることは大切です。
また、睡眠中に成長ホルモンが分泌されるというのを聞いたことがあるかもしれませんが、この成長ホルモンは筋線維の回復にも必要です。7~8時間は眠るようにして、筋肉をゆっくり休ませてあげましょう。
筋肉痛の予防をするには
○ ウォーミングアップや準備体操をしましょう。
運動前にストレッチや軽い体操などで筋肉をのばし、血流や筋肉の柔軟性を良くします。その後、軽いランニングをしたり自転車を漕いだりしてから徐々に筋肉への負荷を大きくしていくことで、筋肉に急激な負荷をかけて傷つけることを防ぎます。
○ クールダウンをしましょう。
激しい運動の後に突然動きを止めると、血液の流れが急に悪くなります。
疲れていてすぐに休みたくなる気持ちは分かりますが、クールダウンのため軽いウォーキングやランニングなどを10分くらい行いスピードを下げてから停止するようにし、血流を止めないようにしましょう。
○ 水分補給をしっかりしましょう。
汗をかくことで血液中の水分が減ると血液がドロドロになって循環が悪くなり、酸素や栄養のめぐりが悪化するため、筋肉痛を引き起こしやすくなります。運動前後はもちろん、運動中も忘れずこまめに水分を摂取しましょう。
○ 運動前に栄養を摂りましょう。
筋繊維の修復を助け、筋肉中のたんぱく質の分解を抑制する働きによって、筋肉痛を起こりにくくしてくれる栄養があります。
牛肉やマグロの赤身、牛乳などに含まれる「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」です。
しかしBCAAは体内で作り出すことができず、また運動時にエネルギーとして消費されてしまいます。そのため運動の30分前くらいに食事やサプリメントなどで摂取しておくとよいでしょう。また、バランスの取れた食生活を普段から心がけることで、筋繊維を太くして傷つきにくい筋肉を作ることができます。
たんぱく質をはじめ、ビタミン類や糖質など、豊富な栄養を摂るようにしたいものです。
○日頃から運動をしましょう。
筋肉痛を防ぐために運動するのか?と疑問に思うかもしれませんが、よく運動している人は筋線維が太くなっていて、ちょっとやそっとでは筋肉痛にはなりません。
反対に筋肉を使う頻度が低いと筋線維が細くなり、少し負荷がかかるだけで傷ついてしまうのです。日頃から全身の筋肉を使う有酸素運動を行い、血流もよくしておきましょう。
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