忙しさやダイエット、さまざまな要因で食生活がおろそかになると、私たちの体に必要不可欠なタンパク質も不足し
てしまいます。
タンパク質不足が原因となって起こる可能性のあるいくつかの症状について解説します。
実はこれって、タンパク質不足のサイン?
タンパク質不足の大きな要因は食生活の乱れや偏りです。以下に一つでも思い当たることがあったら、あなたもタン
パク質が不足しているかもしれません。
- ダイエット中、食事は常に低カロリーを意識
- 忙しいので簡単に食事を済ませてしまう
- 運動しても体力がつかない
- 髪にコシがなくなってきた、肌にハリやツヤがなくなってきたと感じている
- なんだか集中力がなくなってきた気がする
一見、食事とは関係なさそうな心身のトラブルでも、実は食生活の偏りから起きるタンパク質不足が原因となってい
ることがあります。タンパク質不足のサインを見逃してしまうと、体ばかりか心にも大きな影響を与える可能性も。
今回はタンパク質不足が関与すると思われる症状と対策について解説します。
タンパク質不足は体にどんな影響を与える?
タンパク質は筋肉や臓器、遺伝子まで含め体内で多くの役割を担っています。
主な特徴は以下の4つです。
- 臓器、筋肉、皮膚、骨や歯、毛髪や爪など体の材料となる
- ペプチドホルモンや神経伝達物質を構成
- 免疫機能を高める
- 酵素を構成する(消化酵素など)
人間の体は約10万種類のタンパク質から構成されています。そしてこのタンパク質は、わずか20種類のアミノ酸が
数十~数百個以上の鎖状につながってできているのです。
また、20種類のアミノ酸のうち9種類は体の中で作り出すことができないため、食物から摂ることが必要です。
タンパク質不足が招く不調のなかでも特に身近に起こりうる「筋肉量の減少」、「肌や髪のトラブル」、「集中力・
筋肉量の減少
ダイエットや減量のために低カロリーの食事ばかりをしていると、体に必要なエネルギーを確保しづらくなります。
体内に入ってくるエネルギーが減少すると体は危険を察知して、筋肉を分解することで生きていくために必要なエネ
ルギーを作り出します。
つまり、必要なエネルギーを補給しないまま生活していると、エネルギー源を筋肉に頼らざるを得なくなり筋肉量が
減ってしまう可能性があります。
筋肉を作る材料となるのはタンパク質です。実は臓器も筋肉でできています。低カロリーの食事や高脂肪の食事を続
けて体内のタンパク質を不足させてしまうと、結果として基礎代謝量が落ちて太りやすく痩せにくい体質を作りやす
くなってしまいます。
また、摂取した脂肪が消費されずに内臓回りに溜まる症状、いわゆる「メタボリックシンドローム」を引き起こして
しまう可能性もあります。
肌や髪のトラブル
男女問わず、髪や肌は丈夫に保っていたいものです。
特に女性は、肌のハリやツヤ、弾力を維持するコラーゲンを失いたくありませんよね。しかしコラーゲンもタンパク
質から構成されているので、体内のタンパク質が不足してしまうと、コラーゲンそのものが減少してしまいます。
皮膚組織の大部分を占める真皮の材料となっているのもコラーゲンです。コラーゲンにエラスチンという体の構造を
担う構造タンパク質が加わり、肌に弾力を与えると言われています。タンパク質が不足することでエラスチンの働き
も活発に行われにくくなり、シワやたるみの原因につながると考えられています。
また、髪の毛の大部分はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。ケラチンは20種類あるアミノ酸の種類
のうち一部が結合して作られる成分です。タンパク質不足は枝毛や切れ毛の原因にもつながります。丈夫な髪の毛を
作るどころか、薄毛を招く可能性もあるので要注意です。
集中力・思考力の低下
やる気を出してくれるドーパミンや気持ちをリラックスさせるセロトニンなどの神経伝達物質は、アミノ酸(タンパ
ク質を作る最小成分)からできています。そのためタンパク質が不足すると、神経伝達物質が脳内で普段のように作
られず働きも鈍くなってしまいます。
なんだか最近物事がうまくいかない、知らず知らずのうちにぼーっとしていると感じたり、指摘されたりするなら要
注意。タンパク質不足による神経伝達物質の鈍化によって、集中力や思考力が低下している可能性があります。
心身の不調はさまざまな要因によって起こりますが、体内のタンパク質不足が原因となって不調を招いていることも
考えられます。症状を悪化させないためにも、まずはタンパク質をしっかりと補いましょう。
効果的なタンパク質補給のメニューを考えるときに参考にしたいのが「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアとはアミノ酸のバランスを数値化したもので、タンパク質の栄養価を示します。最高値は100で、バランスのいいものほど数値が上がります。
まずはご自身の食事を見直してみてください。タンパク質は食事から摂ることが基本です。忙しさやダイエットで食事を抜いていて低カロリーになりがちなときは、まず三食欠かさず食べることから始めてみましょう。慣れてきたら徐々に品数を増やし、偏りなく食べられるメニューを取り入れます。
日々の食事から摂取する
以下の数値をチェックして、上手に日々のメニューに取り入れましょう。
■アミノ酸スコア
豚肉(ロース) | 100 | 玄米 | 64 |
---|---|---|---|
牛肉(ロース) | 100 | 精白米 | 61 |
鶏肉(ムネ) | 100 | じゃがいも | 73 |
あじ(生) | 100 | くるみ(煎り) | 42 |
さんま(生) | 100 | キャベツ | 53 |
いわし(生) | 100 | ごぼう | 37 |
鮭(生) | 100 | たまねぎ | 51 |
鶏卵 | 100 | トマト | 51 |
牛乳 | 100 | いちご | 64 |
大豆 | 100 | パインアップル(生) | 63 |
糸引き納豆 | 100 | りんご | 56 |
豆乳 | 100 | 生しいたけ | 78 |
引用:2010オールガイド五訂増補食品成分表、実教出版
アミノ酸スコアが100なのは肉類、魚類、卵、牛乳、大豆。これらは単体でバランスよくタンパク質を補給できる食材です。もちろん数値が低いものでも、アミノ酸スコアが100の食材と組み合わせて食べることでアミノ酸の吸収率は上がることが期待されています。
ただし、偏った食材からのタンパク質の過剰摂取は、脂肪摂取量増加の可能性も考えられます。主食、主菜、副菜を基本に、 さまざまな食材をバランス良く摂取するように心がけ 、偏りのない食生活を心がけましょう。
プロテインやアミノ酸のサプリメントから
ダイエット中でタンパク質と一緒に脂質や糖質を摂ってしまうのを避けたい方や、もっと効率良くタンパク質を摂取
したい方はプロテインやアミノ酸のサプリメントを取り入れることをおすすめします。
一回分の摂取カロリーは、プロテインもアミノ酸のサプリメントもあまり高くないので、ダイエット中の方でも安心
です。また、プロテインは水や牛乳、スポーツドリンクに溶かして飲むだけという簡単さも魅力的です。忙しいなか
でも気軽に必要なタンパク質を補うことができます。
そして、プロテインとアミノ酸のサプリメントを使い分けることで目的に合わせたタンパク質を効率的に補うことが
できます。
プロテインは体内では作れない9種の必須アミノ酸を含む、20種のアミノ酸をまんべんなく摂取できます。プロテイ
ンは種類によって吸収までに約1時間~4時間かかるとされているので、筋肉の修復や疲労回復、日常的な栄養補給の
ために継続して使うのがおすすめです。即効性より持続性を求めるときに摂るのがよいでしょう。
一方でアミノ酸のサプリメントは、瞬発的なパワーを期待するときにはクレアチン、長時間使った筋肉には
BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)等、目的に合わせたアミノ酸を選んで摂取できるのがメリットです。
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